今月は気象条件とトライアスロン大会の話です。

最近の夏は猛暑日や命の危険がある暑さなどの言葉が飛び交います。

パリオリンピックではセーヌ川の水質で大会開催が危ぶまれましたが、強行開催されました。

強行という表現は正しく無いかも知れませんが、その後の報道では水質検査の結果を待たずに

レース開催を決めていました。女子選手が大腸菌感染症で入院したのは皆さんもご存じでしょう。

栃木県国体でもオープンウオーターが水質で中止になったのは記憶に新しいです。



気象状況と大会開催ですが、気象警報が出た場合はイベントは開催できません。

注意報の場合は判定委員会の判断で開催可能です。



気温については取り決めがありませんが、暑さ指数(WBGT)が基準となっています。

(WT Competition-Rules P73)

WBGTの測定はメディカル代表、または不在の場合はレース・メディカル・ディレクターが測定します。

WBGT測定はすべて、競技開始 3 時間前から 30 分ごとにフィニッシュエリアで行います。

測定器は、地面から 1.5m の高さの直射日光の当たる場所に設置しなければなりません。木陰では不可です。

WBGT30.1℃以上32.2 ℃未満の場合、スタンダードディスタンス競技はスプリントディスタンスへの変更。

スプリントディスタンス以下の大会:当初の予定通りとなっています。

WBGT32.2 ℃以上の場合は延期か中止となります。

たかはらやまではプランBとしてスプリントディスタンスのランシートも作成していました。



トライアスロン競技規則では水温によりウエットスーツ着用が規定されています。

JTU競技規則73条を参照ください。

JTU_COMPETITIONRULES_20190207.pdf
<https://archive.jtu.or.jp/jtu/pdf/JTU_COMPETITIONRULES_20190207.pdf

水温はスタート1時間前、スタート地点と中間地点の水深60cmとなっています。

水温測定はHRの業務です。



水質はWorld Triathlon Competition Rulesで決まっています。(WT Competition-Rules P69)

海などでは腸球菌 100ml あたり100 以下、大腸菌 100ml あたり250以下です。

いちご一会とちぎ国体のような内陸地では

腸球菌 100ml あたり200 以下、大腸菌 100ml あたり500以下です。

なお一会とちぎ国体では大腸菌が1個検出されました。たぶん野鳥の糞などと予想しました。

充分水質基準はクリアできていましたし、大会1年前の同時期にも水質検査していました。

国スポ後催県にも水質検査することを推奨しています。

国内では東京五輪や日本選手権がお台場で開催されますが、水質基準には入っていると聞いています。

オリンピック・パラリンピック競技大会の 1 年前、2 年前、3 年前とレースの 10 日前からレースの

2 日後まで、1 日 1 回の検査となっています。

セーヌ川の水質が基準に入っていれば検査結果を公表してからレース開催を決めると思うので、

私個人的には水質は危険だったと感じています。



雷についての規定です。

落雷が接近し会場から13キロ以内にある場合はレースを中止し、選手を安全な場所に避難させる必要があります。

最後の雷から 30 分後、レースの再開が可能です。(WT Competition-Rules P74)



トライアスロンは屋外の特設会場で実施される競技です。

気象条件と密接な関係がありますので、引き続き気象とレース開催の規定を勉強して行きましょう。

World-Triathlon_Competition-Rules_2023.pdf
<https://www.triathlon.org/uploads/docs/World-Triathlon_Competition-Rules_20
23_20230208.pdf> 



TTrA競技審判委員会 長嶋政光